ドロマイトとタルクでの原料の差
同じ成分を持つ原料
アルカリ、アルカリ土類に入る塩基性の成分としてK(カリウム)、Na(ナトリウム)、Ca(カルシウム)、Mg(マグネシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)などがあるが、一つの原料が持つ成分は多様な成分を保有している。例えば純粋にマグネシウムが取れれば理想なのだが、石灰石がマグネシアを含む形になるとドロマイトやタルクという鉱物として存在する。私が使用しているドロマイトと焼タルクの分析値は以下のような値です。
原料名 | SiO2 | Al2O3 | TiO2 | Fe2O3 | CaO | MgO | K2O | Na2O |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ドロマイト | 2.26 | 0.13 | 33.68 | 19.25 | 0.42 | |||
タルク(煆焼) | 65.59 | 0.42 | 0.06 | 0.18 |
32.91 |
|||
マグネサイト |
1.48 |
0.06 | 0.01 | 0.33 | 1.18 |
46.5 |
0.01 |
ドロマイトはマグネシア•カルシウムを主成分とし、タルクは珪酸とマグネシアを主成、マグネサイトはマグネシアを主成分としています。釉薬はアルカリと珪酸をバランスよく持っていることが条件ですが、例えば、タルクなどは珪酸も多く含んでいるのでタルクにアルカリを足す(長石など)ことでバランスのよい釉薬となりうるのです。
釉薬のなかでマグネシア(以下MgO)を摂取する際にはこのような成分比を考慮しています。結果的に釉薬全体で同じ塩基、アルミナ、珪酸をとっていたとしてもMgOの摂取の仕方が原料によって変化するとされているので、それが釉薬にどういった影響が出ているかを理解するために行ったテストとその結果について触れていきたいと思います。
ドロマイトを利用した石灰Mg系天目
以前、タルクを利用した石灰タルク系天目というものをテストしました(0.3KNaO•0.5CaO•0.2MgO•0.35~0.65Al2O3•2.7~5.5SiO2)。今回はそれに倣って、ドロマイトで同様の値を取りどのような差があるか実験しました。
OF
0.65 | ||||
---|---|---|---|---|
0.55 | ||||
0.45 | ||||
0.35 | ||||
2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 |
RF
0.65 | ||||
---|---|---|---|---|
0.55 | ||||
0.45 | ||||
0.35 | ||||
2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 |
石灰タルク系と石灰ドロマイト系の比較
実験の数値が中間のテストが若干あっていないので四点の四隅でアルミナ•シリカ数値の一致している部分で比較してみます。
0.35Al2O3と2.5(2.7)SiO2との比較
0.35 / 2.5 |
||||
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タルク系OF | ドロ系OF | タルク系RF | ドロ系RF |
0.35Al2O3と5.5SiO2との比較
0.35 / 5.5 |
|
|||
---|---|---|---|---|
タルク系OF | ドロ系OF | タルク系RF | ドロ系RF |
0.65Al2O3と2.5(2.7SiO2)との比較
0.65 / 2.5 |
||||
---|---|---|---|---|
タルク系OF | ドロ系OF | タルク系RF | ドロ系RF |
0.35Al2O3と5.5SiO2との比較
0.65 / 5.5 |
||||
---|---|---|---|---|
タルク系OF | ドロ系OF | タルク系RF | ドロ系RF |
比較からの考察
正直並べてそこまで変化は感じられなかませんでした。同じ成分を持つ違う原料を使う時何が違うかを語ろうとするとそれは、どの時点で何が溶けるかの違いになってくると言われています。例えば、今回のようにシリカとMgが合わさった原料=タルクはそれ自体がガラスの元になるようにガラスとMgがすでに溶け合った原料といえる。対してドロマイトは石灰とMgが溶け合った原料なので、ガラスと結びつくのに時間がかかると思われる。その違いを今回のテストで観察するのはもしかしたら他のやり方を見出すしかないように思われる。今回はこの辺で記事の編集は一度終わりにしようと思います。