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独自にテストしている陶芸の釉薬に関するデータを投稿

曜変天目についての概要

曜変天目とは

 曜変天目をつくるというと、陶芸のロマンを追いつつも業界的には天目作家それぞれに曜変天目論があってそれは排他的で否定的な印象が私個人としては感じるところがあります。中国の建窯でとれる曜変天目の再現を試みるということでは、その土地の粘土•原料をもとにその時代の焼成方法を検証するという縛りがありますが、もう少し手短にあの曜変天目の表情を出したい(というかどうやって出るんだろう)というのが私のスタンスです。

 とはいえ、曜変天目の表情にもルールがあるので、一度項目としてまとめていきたい

なんか、他にも色々ありそうですが編集で内容は更新していきたいと思います。あまり、ガチガチに定義すると論争になりそうなので、ふわっと。。

 黒い発色の釉薬を説明するときに簡単に鉄(弁柄)を入れればいいという考えがあるが、とても大雑把な考えであることが実験の中で気づくことである。顔料を含む釉薬の顔料以外のレシピのパートを基本釉と言ったりします。その基本釉の分析値、R2O(アルカリ)、RO(アルカリ土類)、Al2O3(アルミナ)、SiO2(シリカ)のそれぞれの値によって鉄の発色を左右するので、それらの値を増減することでどのような変化の方向性になるかということは理解する必要がある。また、鉄にも第一酸化鉄、第二酸化鉄、四酸化鉄、黒浜、珪酸鉄とFe値を多く分析値にもつ原料がいくつかあり(これだけではない)、それらの違いも理解する必要がある。

 鉄の話以外にも、マンガン、コバルトは黒系の発色に期待できるが、曜変天目の特徴となる斑紋にはチタン、酸化皮膜の様子に銅の要素があるのではと疑える。と、顔料と基本釉の相関により黒い釉薬を実験していくことが曜変天目に繋がっていく。

気泡

 色の発色と違う部分はさらに実験が求められる。梅花皮や柚肌など、釉薬の性状でも凹凸表現につながる技法はまた考え方を柔軟にしなければならない。単に成分で凹凸になるということもあるが、やはり焼成条件でその差もでてくるので、一概に同じ成分で行うことで同じ結果が出るということではない。釉の厚みにもその注意を払うべきなので、厚みの一定を狙ったりは当然の仕様である。

 油滴天目では釉薬の発泡が行われそれが落ち着いた時に表面が滑らかになり、油滴の斑紋につながる。考え方としては高温時に粘り気のある釉が沸騰状態またはガスの抜けにより泡が発生して、その形を残したまま1100°C程度まで急冷、その後ギリギリ釉薬が溶ける温度で引っ張ることで釉薬表面が滑らかになり、油滴をもちながら凹凸のない斑紋になるというその一連のように思われる。

 他にも、斑紋の方法は考えられるがひとまずの方法はこれですすめてみる。

まとめ

 曜変天目をねらうモチベーションが要は釉薬の勉強になるので、現時点で釉薬の基本のテストをおさらいしつつも、成分としてどこをいじると変化が行われるか、焼成条件をどこを変更すると表現が適切になるかなどこれからの対応も考察することができている。一つ一つその謎を解明することで釉薬表現のこれからを見つけることができるのではないかと思われる。