石灰系天目釉薬(0.3KNaO)
はじめに
石灰系天目釉薬ということで今回はテストの内容を紹介していきます。石灰系とはゼーゲル式において、溶剤を石灰=CaOで摂取していく系統ということです。今後、MgOを多く含むマグネサイト系、タルク系 、CaOとMgOをバランスよく含むドロマイト系といった溶剤の種類があるのでそこで実験をしていきたい。
1240°Cあたりで溶融する釉薬の一般的なゼーゲル式は
0.3 KNaO • 0.7 CaO • x Al2O3 • y SiO2
なので、0.3のアルカリで調整して実験をしていく
テスト
①ゼーゲル式
0.3KNaO•0.7CaO•xAl2O3•ySiO の Al2O3とSiO2の範囲を設定
x => 0.35 ~ 0.65, y => 2.5 ~ 5.5 の範囲で行う
縦、横を5列、25枚で
x は 0.35, 0.425, 0.5, 0.575, 0.65、y は 2.5, 3.25, 4.0, 4.75, 5.5
② 調合
①の式に則って、実際に使う原料を調合していく。
一般的な原料を元に、
アルカリの摂取には福島長石、CaOには鼠石灰、
Al2O3には河東カオリン、または酸化アルミナ、
SiO2には福島珪石
着色顔料は弁柄、今回は外割で10%を添加
結果
OF SK8 水平 1240°C 30m keep
0.65 | |||||
---|---|---|---|---|---|
0.575 | |||||
0.50 | |||||
0.425 | |||||
0.35 | |||||
2.50 | 3.25 | 4.00 | 4.75 | 5.50 |
RF SK8 接地 1225°C 30m keep
0.65 | |||||
---|---|---|---|---|---|
0.575 | |||||
0.50 | |||||
0.425 | |||||
0.35 | |||||
2.50 | 3.25 | 4.00 | 4.75 | 5.50 |
感想
酸化ではアルミナが増える傾向において、酸性ガスのブクが発生した形がそのままでいる。そのガスのたまりが油滴につながるように思われる。アルミナ質マットの表情も釉薬単体の表情として面白みがあるので、何かしらで利用出来るといい。還元では鉄の赤い結晶が見られる。鉄赤ほどではないが、弁柄の量が多いことが赤味をだしてしまうのでは?
アルミナ、シリカが少ない傾向では飴釉の表情になり、今回のテストにおいて鉄系で濃い色を作る釉薬の指標になったということで御の字ということで。
とりあえず、最初のテストなので、今後のテストに更なる期待を込めてまた次回!!